重ねた嘘、募る思い
「ちゃんと説明して。嘘ついてもわかるんだから。のんの嘘なんて私達いつでもお見通しなんだからね」
同調するように陽さんが真剣な顔でうなずくから胸の奥のほうからこみ上げてくる居たたまれなさみたいなものを飲み込むしかなかった。
嘘つきの烙印を押されたような気がした。それはしょうがないだろう。わたしはたくさんの嘘をついてきているんだから。
これ以上隠しきれないと観念したわたしは、俯いて口を開いた。
「陽さん、わたしを抱きしめて……真麻の名前をつぶやいた」
「嘘だ!」
わたしの発言を遮るように突然発せられた陽さんの大声に驚いて思わず顔を上げ、視線を合わせてしまった。
肝心の陽さんはそのせいで喉に負担がかかったのか激しくむせだしている。
本当のことを言ったのになんで嘘だと言い切るのだろうか。わたしの嘘はお見通しだなんて全くのデタラメじゃない。
ペットボトルに口を付ける陽さんをぎっと睨みつける。
「嘘じゃない」
「いーや、げほっ、嘘だよ」
子どもみたいに言い返してくる陽さんに無性に腹が立った。