重ねた嘘、募る思い
今までの真麻だったら、すぐにわたしに手を差し伸べてくれた。
もしかして今もそうしてくれようとしているのかもしれない。
そう思ったわたしの甘い考えに気づいたのか、即座に真麻は眉を吊り上げてわたしを突き放した。
「ほら、言いなさいよ」
挑発するようなその言葉に首を横に振る。
わたしを戒めるかのように髪の先が頬をバシバシとかすめた。
フラれてなにが変われるというのだろうか。ただの恥さらしじゃないか。フラれるとわかっていて告白するばかなんていない。
どうせ、わたしなんか――
その時、母の言葉を思い出した。
――少なくとも『わたしなんか』なんて自分で自分の人格を下落させるような女の子とつき合いたいとは思わない
胸の奥が締め付けられるように苦しくなったのとほぼ同時にパン、と耳元で何かが破裂したような音が聞こえた。
直後、左頬に走る痛みがじーんと疼くように広がってゆく。
一瞬何が起きたかわからなかった。
真麻と真正面に向き合っていたはずなのに強制的に右向きに、陽さんのほうを向かされている。
真麻がわたしの頬を叩いたんだ。