重ねた嘘、募る思い
間違えられて。そう、悔しかったの。悲しかったの。
それがなければわたしはずっとこんな思いを自分の中で燻らせていたはず。
そして一生こんなふうに真麻にぶつかることはなかった。
きっと誰かがありのままのわたしを認めて、求めてくれるはず。
いつかそんな日が来ればいいって心のどこかで願いながらも、そんな日は来るわけないと諦めていた。
「いい加減認めてあげなさい。陽のこと、どう思ってるの?」
暖かな手に両頬を包まれ、胸だけでなく喉の奥の辺りが熱くなる。
真麻が言ったことの意味がわかった。今がわたしの正念場。変われるかどうかの。
変われるのなら変わりたい。
今しかない。
「――す、き」
掌から砂が零れ落ちゆくように自然に口からそう漏れ出していた。