重ねた嘘、募る思い
12.弁解する陽さんとフォローする真麻、そしてわたし
告げてしまった言葉は取り消せず、我に返って両手で口を塞ぐことがせいいっぱいだった。
素直になって告げようと思ったはいいけど、こんなに簡単に吐露してしまう自分が恥ずかしくて。
それと同時にわたしを後ろから羽交い絞めにしていた陽さんの手に力が込められた。
前のめり気味になっていたわたしの身体は吸い寄せられるように陽さんの胸へ誘われ、苦しいくらいに強く後ろから抱きしめられる。
「今の、本当?」
耳元にかかる吐息、熱のこもった掠れ気味の声。
それが困ったような声に聞こえてしまったから、『違う、今のは間違い、冗談』と笑って言いたくなった。
そう首を振るのは容易いことだったと思う。だけどもうこれ以上嘘を重ねたくない。喉元が熱い、苦しい。
それになんで抱きしめられているんだろうか。
「う……あ」
肯定も否定も、その前に声が出ない。出るのは意味のない呻き声だけ。
そんなわたしの頬に柔らかい髪が掠め、くすぐったさを感じた。それは陽さんのもので。
肩に感じた重みは陽さんが頭を乗せているからだと気づくまでに少しだけ時間を要した。