重ねた嘘、募る思い

 具合が悪いのかと思った。だからわたしの肩に凭れかかっているのかと。
 それでも抱きしめられた腕は一向に緩まなくて。
 真麻に助けを求めるように目線を向けると、なぜだか泣き出しそうな笑顔でうんと大きくうなずかれた。

 それにつられるように一度だけゆっくりとうなずく。
 すると陽さんの口からはあっと大きな吐息が漏れ出し、さらに抱きしめられている腕に力が込められた。

「僕も」

 その言葉が、するりと当たり前のようにわたしの耳へ落ちてくる。
 わたしはしばらくそのまま固まってしまったように動けなかった。
 もちろんきつく抱きしめられているせいもあるけれど、思考が完全に停止してしまっているような感じでうまく息継ぎもできなかった。

 ――僕も。

 なにが、僕も?
 
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