白雪姫の王子様




彼はつい先日、大学進学の都合で北海道からこっちに戻って来ていたというのだから……!


もはやパニック寸前の私とは対称的に、太一兄ちゃんは至って平然としている。


どうやら彼は、私がここに住んでいることを既に聞いていたようで、私の姿を見た時も全く驚く様子を見せなかった。


もともと高かった背は更に伸びて、全体的に大人っぽい雰囲気を帯びている。


以前よりグッと増してかっこよくなった太一兄ちゃんに、私は動揺を隠せない。


……だけど、そんな中にも面影はしっかりと残っていて。


懐かしい。


私の知ってる太一兄ちゃんだ。


そう思うと、とてつもなく嬉しくて、幸せな感情に包まれた。




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