白雪姫の王子様
……もしも。
もしも……こうやってまた会えたのが運命で、実は私の王子様の正体は太一兄ちゃんだった、なんてこと──。
……だっ、ダメよ、ダメ!
自らの頬をパチンと叩いて目を覚ます。
そんなの、夢のまた夢……わかってるよ。
だって太一兄ちゃんにとって私は、ずっとただの妹なんだもの。
でも──。
実際に会って、見て、話して、触れて……。
私、気づいちゃった。
我ながらなんてバカなんだろうって思うけど、ほんの少し一緒にいただけで、自然とそう感じてた。
あーやっぱり私、太一兄ちゃんのことが好きなんだなあって。
これまで何回か、私にだってちょっと気になる人ができることはあった。
でもいつも、なんか違うかもってすぐに冷めちゃってたのは、なかなか恋愛に踏み込めなかったのは全部、そのせい……だったのかな?
“無意識のうちに太一兄ちゃんと比べてしまってた”
今考えると、そんな気がする。
隣にいると落ち着いて、声を聞くと嬉しくなって、ずっと一緒にいたいって思ってしまって。
……そっか。
多分私はずっと……太一兄ちゃんに、恋してたんだ。