白雪姫の王子様




「これ……? ふふっ。私、昔から白雪姫が大好きでね。この絵本は小さい頃、お母さんに買ってもらったものなの」


「……そっか」



変な犀川くん。


私はどうも気になって、「何かあったの?」と少し覗き込んだ。



「……っ、ごめん……」



犀川くんははっとした様子でそう答える。


そして、ふわりと微笑んだ。



「その絵本が目に入った瞬間、“あの子”のことを思い出して……」


「あの子?」





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