白雪姫の王子様
「あんた泥棒でしょ!」
「……泥棒?」
身体を起こしたその青年は、私の言葉にきょとんと首を傾げた。
「とぼけても無駄よ。盗みに入った家で布団まで敷いてのうのうと寝てるなんて、図々しいにも程があるわ。さあ、白状しなさい」
きっとおじいちゃんの留守を狙ったのね……。そしたら鍵が開いてて、シメたとでも思ったんでしょう。
でも、そうはいかないわよ!
「ごめんね、君がこんなに早く来るなんて思ってなか……って、あー! もうこんな時間だったのか!」
は? な、何この人!
……あくまでしらを切るつもり?
そういうことなら……。
深く息を吐く。
そして、ゆっくりと構える。
呼吸はオーケー。姿勢も完璧。しっかり目標を見定めて。
……いける。
空手なんて長らくやってなくて心配だったけど、積み重ねた経験はちゃんと身体に染みついている。
ちょっと見た目がアレだからって、容赦しないんだから。
おじいちゃん……この家は、私が必ず守ってみせます!
「……はぁーっ!」