白雪姫の王子様




「可愛かった〜! 私クラゲ飼いたいかも。今日で好きになっちゃった」


「えっ……。な、なあ由利、俺は? 好き? それとも大好──」


「大悟うるさい」


「なっ」



クラゲゾーンを抜け、ペンギンがいる館へ向かっている最中のこと。


大撃沈の近江くんの傍ら、私はあることに悩まされていた。


……どうしよう。


皆に言うのはなんかちょっと恥ずかしいし……でも早く言い出さないと、場所がわかんなくなるし……。



「ごめん、ちょっとトイレに行ってくる」



由利に近づいた私は、こっそりと小声で伝えた。



「ついて行こうか?」


「ううん、大丈夫。すぐ戻るから!」



そう言い残すと、さっき見つけていた場所まで早足で向かった。




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