白雪姫の王子様




あぁ。この歳でトイレに行って迷子になるなんて、恥ずかしすぎる。


……ん?


そういえば、前にもこういうことがあったような気が……って、そんなことより早く何とかしなくちゃ!!


どうにか解決策を見出そうと試みるも、思考回路はぐちゃぐちゃで。


駄目だ、どうしていいかわからない。


計り知れないほど大きな不安が、私の全身を一気に蝕んでいく。


落ち着け私。こういう時こそ、冷静でいなきゃ。


胸に手を当て、すぅーっと深呼吸。



“白雪姫様お願いです。どうか私を助けてください!”



私は願いを込めて、そっと手の甲に口付けをした。


……迷子になってから何分くらい経ったんだろう。おそらく、20分近くはさ迷ってるような気がする。


ごめんね、皆。きっと今頃……。



「あ!」



頭の中にピシッと電流が走った。





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