白雪姫の王子様
「……もしも──」
『白雪!? あんた無事なの!?』
「へ? う、うん」
電話越しの勢いに押されながら、私はほぼ反射的に答えていた。
『何で今まで電話に出なかったのよ。全然帰ってこないし、近くのトイレに見に行ってもいないし、本気で心配したんだから!』
「……っ、ごめん! サイレントにしてて気づかなかったの」
“本気で心配したんだから”
初めて聞く彼女の声に、その瞬間、目の前の景色がぐにゃりと揺れた。
ごめんね。
本当に、ごめんなさい。
皆に迷惑かけて、心配させちゃって……。