白雪姫の王子様
『ちょっ──!?』
由利の叫び声と共に、ガサッという雑音が耳に響く。
『白雪、絶対そこから動いちゃダメだからな!』
「さ、いかわく……っ」
──ドクン。
鼓動が大きく跳ねる。
この瞬間、私の中に確かに何かが芽生えたような気がした。
『待ってて。すぐに迎えに行くから』
「うん……!」
優しいのに、頼もしい声。
……何なんだろう。
この時妙に安心して。
瞳にゆらゆら浮かんでいたそれは零れ落ち、頬に一筋の雫が伝った。