白雪姫の王子様




狙うは相手のみぞおち。


叫び声とともに、その一点を目掛けて瞬時に蹴りを飛ばす。


けれど。



「わっ」


「……っ!?」



交わされた!? そんな……。


洩れた情けない声とは対称的に、泥棒は私の渾身の蹴りをあっさりと避けてしまった。


……こ、これはまぐれよ、まぐれ。次は絶対。


そうやって、もう一度構えた時だった。



「こら! やめんか、白雪」


「……っ、おじいちゃん!?」



振り返るとそこには、買い物袋を片手に呆れ顔をしたおじいちゃん──浅原時次郎(あさはら ときじろう)が立っていた。




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