白雪姫の王子様




「あいつ、今までどんな可愛い子に言い寄られても全っ然なびかなくて。そもそも、恋愛とかそーゆーのにあんまり興味ないのか、自分からは女の子と関わろうともしねぇし。何があったかはさておき、親友としてはずっと心配だったんだけど──」



……だけど?



「その必要はなかったみてーだな」


「な、何──」


「俺の知らねー間に、あんなに楽しそうに自然体で話したり、血相を変えて心配するくらい、大切な子ができてたんだってわかったからさ」



──それって、どういう……?



「あー悪ぃな、まだ買い物の途中だっただろ? じゃ、またあとで」


「ちょ、近江く……」


「あ。このことは、龍介には内緒で頼むよ」


「待っ」



……行っちゃった。


近江くんのさっきの言葉。


“血相を変えて必死になるくらい、大切な子”って、もしかして……。





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