白雪姫の王子様
「あ、あの……っ!」
「あれ、何でだ? さっきより赤く……。白雪、早く病院に行こ──」
「私は大丈夫だから!」
これ以上耐えきれず、私は一心不乱に逃げ出した。
犀川くんのバカーっ! 誰のせいでこうなってると思ってるのよ!!
朝からいきなり天然炸裂させないでよ、もう!
犀川くんの予測不能な言動には、ほんといつもいつも振り回される。
いくら天然だからって、こんなにもドキドキさせるなんて……。
彼だからなせる天性の技なのか否か。
こんな調子じゃ、女の子に相当モテて当然ね。
……あれ?
でも犀川くん、そもそも女の子と自分からは関わらないんだっけ……?
昨日の近江くんの発言を思い出すと同時、小さな疑問が脳裏を過ぎった。