白雪姫の王子様
「ところで龍介は」
「今、シャワー浴びてる」
遊園地へ行く約束をしたすぐあとのこと。
犀川くんは汗を流すため、お風呂場へと向かったんだ。
──あの時……犀川くんは、どんな気持ちで私を誘ってくれたんだろう。
友達として? 同居人として? 師匠の孫として? それとも──。
違うってわかってる。そうじゃないって、わかってるのに。
心は、高鳴るのを止められない。
だって。
……こんなの、誰だって期待しちゃうじゃない。
ゆらり、ゆらりと揺らめく心。
赤い糸が繋いだ本当の運命を、私はまだ知らない──。