白雪姫の王子様




「じゃあ、最後の質問。昔“太一兄ちゃん”と遊園地に行った時、あんたそんなに緊張した?」


「……え? 全然。普通に、楽しかったけど」


「じゃあもし今回の相手が“犀川くん”じゃなくて“太一兄ちゃん”だったら、どんな気持ち?」


「どんなって……」



そんなこと言われても。



「想像してみて」


「……わかった」



太一兄ちゃんと遊園地──。


……きっと、いつもみたいに優柔不断な私のことを引っ張って行ってくれるんだろうな。


最初は何に乗るか自然と促してくれて。


でもたまに、私が無理やり引っ張って。


あ……太一兄ちゃん、まだ高いところ苦手なのかな?


そしたら絶対観覧車には乗れないや。


だけど不思議なことに、ジェットコースターだけは何故か得意なんだよね。


想像は瞬く間に膨らんでいく。


楽しくて仕方ないんだろうなって、一瞬でわかった。


──ああ、多分……。




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