白雪姫の王子様




「ワクワク、してる」


「……やっぱりね」


「やっぱり?」



な、何かわかったの!?



「気づいてる? 状況は同じなのに、白雪の感じ方や反応はそれぞれで全く違ってるって」


「……確かに」


「でしょ。同じ“好き”でも、ワクワクとドキドキじゃ意味がかなり変わってくるんじゃない?」



なんとなく、少し前からぼんやりそんな気はしてた。


2つを比べた時にある違和感……言われてみて、はっきりした。


太一兄ちゃんへの“好き”って想いと、犀川くんへの“好き”って想いは全く別ものなんだ。


“好き”なんて、全部同じ気持ちだと思ってた。


“好き”は“恋心”の証なんだと思ってた。


……だけど、そうじゃなかった。


“恋心”じゃない“好き”もあるんだね──。



「ま、私から言えるのはここまでね。あとは、自分で考えることだから。どっちを恋ととるかは、白雪次第」


「……うん、ありがとう」



大丈夫。


もう、答えは出てる。



「由利」


「ん?」



にっこりと笑顔を向ける。



「私、犀川くんに恋してる!」


「……っ、頑張れ白雪」



由利は少し驚いたような顔を見せた後、優しい笑みで私にエールをくれた。




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