白雪姫の王子様




──こうして、解けなかったその答えにやっと辿りつくことができた、のだというのに……。


この時私はというと、なんだか内心素直に喜べないでいた。


大きな問題を解いてみればその直後、また1つ、陰に隠れていた別の大きな問題が目の前に現れてしまったのだから。


彼への恋心に気づいたのはいいけど。これから私、どうすればいいんだろう。


だって犀川くんの心には、“あの子”という絶大な存在があるんだもん……!


気づかないままのほうが良かったのかな。


犀川くんを好きでいていいのかな。


……はぁ。


またしても新たな悩みが生じてしまったことに溜め息が出る。


考えても埒が明かない。


今はそっと、この想いを胸にしまい込むことに決めた。



──……



「うわー、たくさんあるね」



放課後。私は今、間宮くんと2人で資料室に来ている。


というのも、あと1か月後に迫った文化祭の出し物を決めるため。


来週のLHRに備えていくつか候補をあげておきたい私達は、何度か2人で話し合ったんだけど……結局今日まで何も浮かばずじまいだった。


そんなわけで、何か参考になるものはないかと、伊丹先生に頼んで資料を見せてもらうことになったのだ。




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