白雪姫の王子様




「犀川く──」


「……まって。そのまま動かないで」



囁きのような低い声が響く。



──フワッ。



急に真剣な眼差しをして髪に触るものだから。



「ひえっ!?」



つい、マヌケな声をあげてしまった。



「な、何?」



ドクドクと心臓を弾くような鼓動。


私の心は、明らかに動揺していた。


“動かないで”って言われたけど、身体は緊張のせいか完全に硬直していて、意図せずともその言葉通り微動だにしない。




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