白雪姫の王子様
──……
「いやー、すごく楽しかったね」
どこかスッキリとした表情。
向けられた笑顔が乗る前よりも煌めきを増したように見えるのは、単なる気のせいだろうか。
はぁ……本気で死ぬかと思った。
乗り物で気を失いそうになったのは、これが初めて。
あれだけ賑やかだった筈の脳内も、今や虚無でしかない。
まあこの恐怖のお陰で、さっきまで私を埋め尽くしていた変な緊張が、すっかりどこかへ飛んでいってくれたんだから……ある意味、よかったのかもしれないけど。
それより何より、犀川くんがこんなにも絶叫系に強かったなんて……。
「ん、大丈夫?」
「大丈夫です……」
ポツリ、情けない声が2人の間に零れ落ちた。