白雪姫の王子様




──続いて空中ブランコ・迷路・バイキング・フリーフォールと、次々にアトラクションを堪能した私達。


次は何に乗ろうかと考えながら歩いていると。



「あ!」



ふと、私は目に入ったあるアトラクションの前で足を止めた。



「懐かしー。私、小さい頃これが一番好きだったの」



くるくると回るコーヒーカップ。


たくさんの人を乗せたそれは、少しずつ模様が違っていて、速さもそれぞれなのが見ていておもしろい。


いつ以来乗らなくなったんだろう。


お父さんとお母さんと来た時は、必ず一番に乗ってた。



「太一兄ちゃんともよく乗って……」



はっ!


やだ、私ったら……。


無意識に心の声を口に出していたことに気づき、咄嗟に犀川くんの方を見る。


すると。



「大好きなんだね、西嶋さんのこと」



彼は優しい口調でそう言って微笑んだ。


なっ……何やってるの私~っ!


もちろん太一兄ちゃんのことは大好きだけど、でも!


私が本当に好きなのは、あなたなのよ犀川くん……!



「乗ろっか」


「え?」


「行くよ?」



掴まれた右手。


ドキッとする間もなく、促されるままに乗り場へ向かった。




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