白雪姫の王子様




「すげー! これ、めっちゃ回る!」



コーヒーカップに乗るのは実は今日が初めてだという犀川くんは、興奮した様子で叫びながらこれでもかってくらいにハンドルを回す。


しかしあれだ。


周りを見なくてもわかる。


私達のカップのスピードは、群を抜いている。



「白雪ー、これもっと速くなるかな?」


「え、まだ速くしたいの!?」



まるで無邪気な子ども……いや、新しいおもちゃに夢中になる子犬みたいな彼に、私は思わず声をあげた。




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