白雪姫の王子様




「ねぇ」



頼りない足取りの彼にヒヤヒヤさせられながらも、思わず“可愛い”なんて感じてしまう。



「私のこと、持って?」


「あ……ありがとう」



近くのベンチまで犀川くんを支え、そこで少し休憩するように提案した。



「回復するまで、ゆっくりし──」


「このクソガキ!! どこ見てやがんだコルァ!」



……っ、何!?


突如響き渡った怒号。


その声に辺りの空気は瞬時に冷たく凍りついた。



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