白雪姫の王子様




「何、喧嘩売ってんのこの娘?」


「へぇー、やんのか? 言っとくけど俺、今まで1度も負けたことないんだぜ」



指をポキポキ鳴らすと、拳をギリッと握り締める“将人”と呼ばれる男。


歯を食いしばる。


怖くないって言ったら嘘になる。


──だけど。


あの子達の方が、もっと怖い思いしてる筈だもん。



「わかった。私があなたの相手になるわ」



私だって一応空手経験者。しかも、家は結構有名な道場なんだから。


暫くやってないなんて、子ども達の前ではただの言い訳。


スウっと大きく酸素を取り込む。


おじいちゃんから教わったことを頭に巡らせながら、構えのポーズをとった。


その時──。





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