白雪姫の王子様
「警備員さん、あそこです」
そんな声が、張り詰めた空気を裂いたのだ。
その声はよく聞き覚えのあるもので。
「早く来てください!」
ふらふらとおぼつかない動き。
きっとまだ気分は完全に戻りきっていないのに、彼は私達を指さしながら遠くに向かって大声で呼びかける。
「マズイ、どっかの空気の読めねぇへなちょこ野郎が余計なことしやがったみてぇだ!」
「とにかく逃げましょう!」
「チィッ、覚えてろよ善人ぶったクソ女!」
吐き捨てるように、彼らはこの場から離れていった。