白雪姫の王子様
「梅木てめー、いい加減なこと言ってくれたみてーだな」
「いい加減じゃねぇし。俺ははっきりこの目で見た」
「何を」
「だから、お前らが抱き合ってっとこだよ」
だ、抱き合ってた? 私が、間宮くんと!?
「そのあと、浅原が犀川って奴とチューすんのもばっちり見たんだかんな!」
「なっ!?」
何それっ!
さ、犀川くんと……ちゅっ、チュー!? ……なんてそんなこと、ででできるわけないじゃない!!
「先週の金曜の放課後、資料室でな。丁度あの時間帯、部活中でさ。あそこ、体育館からよく見えんだよ」
……え?
それって……。
ふとあることに気づいた時、周囲からひそひそと話す声が薄らと聞こえてきた。
ホントダッタラヒドイネ? アリエネー? ハルキカワイソウ?
……ちょっと待って?
いやーーーーーっ! これじゃあ私、二股最低女じゃない!?
早く誤解を解かなきゃ!
「違うの! あれは……」
「見たもんは見たんだって」
「おまっ──」
「ちょっと梅木! あんた、さゆちんとまみりんに何の恨みがあるっていうのよ!?」
……あっ!
突然、目の前で腰まで届くロングの茶髪が揺れた。