白雪姫の王子様
──パタン。
ドアを潜り抜けたその直後、大きな背中にポツリと呟く。
「……あの、ありがとう」
小さくお礼を言うと、犀川くんはくるりとこっちを向いてにっこり微笑んだ。
やっぱり柔らかくて素敵な笑顔。
悪い人には全然見えないし、本当に良い人……なのかな?
う、ううん、ダメよ! まだ信用するのは早いわ。
ちょっと優しくされたからって、簡単に信じたら負けなんだから。
そうやって脳内で論争を繰り広げていると──。
「白雪?」
「え、あ、うわぁ!」
いきなり覗き込まれて、その近さに思わず声を漏らす。
び、びっくりしたぁ!