白雪姫の王子様
ドクン、と心臓が大きく跳ねたのがわかった。
何とも言えない、複雑な心境に苛まれる。
確か前にも似たような感覚を覚えたことがある。
──そう、初めて“あの子”の存在を知った時。
「でもそれ、本当に彼女なのかな? 大切な人ってだけなら、彼のことだし家族とかかもよ」
確かに! 由利様、超〜頭いい!
「私もそう思う! きっと皆考えすぎなんだよ」
「だといいんだけど……。残念ながら、そうでもなさそうなの」
「え」
どういうこと?
期待いっぱいで発した私の言葉は、無惨にも呆気なく打ち砕かれた。
「1人有力情報があがってるのよ。まだ本人に確認取ったわけじゃないけど、その子は──」