白雪姫の王子様
よし、こうなったら!
私は1つの決心をすると、大きく息を吐いた。
“こうなったら、自分で直接真相を確かめるっきゃない!”
「あ、おかえり白雪」
「ただいま」
濡れた髪を拭きながら、犀川くんはリビングに現れた。
今がチャンスよ、白雪!
そう心に投げかける。
“白雪姫様お願いです。どうか私に勇気をください!”
「あ、あのさ」
思いきって振り絞り。
「後で話があるんだけどいいかな?」
すれ違う寸前、こっそり囁くように尋ねた。
──筈だったのに。
「さあて、お邪魔虫のじいさんはそろそろお暇して明日の稽古の準備でもするかの〜」
おじいちゃんは“ヨイショ”と膝に手を付きながら椅子を離れた。
「な、何でぇ!?」
「まあそういう訳じゃ、気兼ねなく2人でゆっくりと世間話でもするがよい」
この地獄耳〜!
なーにが、「ほっほっほ」よ!
去りゆく背中にぐぬぬ……と拳を握りしめていると。