白雪姫の王子様
「どうした?」
「へっ?」
いけない!
速やかに笑顔にチェンジする。
「な、なんでもないよ」
冷や汗をこっそりと拭い、ごまかすようにテーブルへ促した。
「珍しいね、白雪から話があるなんて」
「あはは……! えーと、その……ね?」
じっとこっちを見つめる瞳。
聞く体制に入ってくれてるんだって、明らかに見てわかる。
今この状況は私にとって最高のシチュエーション。
準備は万全。
あとは一言、そっと問いかければいいだけ。
……だというのに。
私はというと、そんな好条件下で尚切り出せずに尻込みしていた。
“彼女いるの?”
ただそう訊くだけなのに。
何も難しくない、簡単なことなんだから。
そう自分に言い聞かせる。
い、いくわよ。
胸に手を当てゆっくりと深呼吸。
……せーの!
「かの──」