白雪姫の王子様




「……かの?」



あああああぁまた言えなかったーーー!


うぅぅ、私の意気地なし〜。


頭を抱えて大声で叫びそうになるのを、なんとかぐっと我慢する。


……ええ、わかったわ。これはもう、私に直球勝負は向いてないってことよね。


よし! 潔く作戦変更よ。


今度は周りから徐々に、じわじわと攻めていってやろうじゃない……!



「ええっとー。さ、犀川くん何か最近変わったこととかない?」


「ん?」



目に映るのはきょとんとした表情。


やっぱ、そうなるよね。


我ながら質問が酷すぎたと深く反省する。



「そうだな……。特に変わりはないかな?」


「そ、そっか〜……」



なんかごめんね犀川くん。


真面目に答えてくれる彼の純真さに、私は少し心が苦しくなった。




< 257 / 366 >

この作品をシェア

pagetop