白雪姫の王子様
チラリと覗いてみると、彼はどこか驚いた顔をしていた。
「……何でそうなったんだ」
「え?」
「俺にはそんな人いないし、それに──」
放たれたのは、まるで深刻な問題に直面してしまったかのようなそんな声色。
私はただ黙って見つめた。
「三浦、好きな奴いるんだよ」
「そうなの?」
どんよりとした雰囲気が漂う。
目の前で思い悩む姿がどうもいたたまれず。
「犀川くんさ、放課後に三浦さんと2人きりで会ってたりしない?」
すると彼は心当たりがあるのか、はっとなって眉間にしわを寄せた。
「ああ……実は、少し前から恋愛相談に乗ってたんだ」
「れ、れんあい、そうだん……?」
思いもよらぬ単語に、私はポカーンとさせられる。