白雪姫の王子様




「何とね、昨日話した噂は嘘だったらしいの!」


「本当に!?」



由利は目を大きくする。



「放課後、麻里奈と理子連れて直接三浦萌菜に問いただしに行ったのよ。そしたら、犀川くんとは付き合ってないって!」



直接!?


彼女の行動力には心から驚かされる。


まさか、ほとんど見ず知らずの相手に直接訊きに行っちゃうとはね。



「彼女曰く“まだ片想いしてる状態”なんだってさ」



やっぱりー!


私の勘は案の定当たっていたみたい。



「それはそうと、“まだ”って何なのよ“まだ”って! もう少ししたら両想いになりますってか!? ああいうぶりっ子の塊みたいな女だけは私、絶対認めないからね!」



彩香ちゃんのあまりの力強さに、思わず私は由利と顔を見合わせた。


何はともあれ、噂話はもう懲り懲りだ。





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