白雪姫の王子様
「できたー! 下書き完成!」
猫に犬に兎にライオン……デフォルメ化されたたくさんの動物達は、今にも動き出しそうなほど賑やかだ。
皆で一生懸命描いたそれを上から眺めれば、満足のいく出来栄えに自然と笑みが溢れる。
まあ、ほとんど理子ちゃんが描いてくれて、絵心のない私が描いたのは簡単な草花だけなんだけど。
「白雪、色塗りもう始めちゃう?」
「んーそうね……始めちゃおっか」
少しだけどまだ時間はあるみたい。進められるところまで進めておいたほうが後々楽だし……。
「お、筆と水入れはっけーん!」
「あーでも、残念ながら絵の具はねぇみてーだわ」
「それなら私、取ってくる」
……とは言ったものの、絵の具ってどこで手に入れたらいいんだっけ?
教室を出てすぐ、何の情報もなく飛び出してきてしまった自分の愚かさに気付かされる。
我ながら、考え無しに動いてしまうこの性格がとてつもなく憎らしい。
「あっ」