白雪姫の王子様
「うわあああ、イッてぇ!!」
悲痛な叫び声が耳に轟く。
え、何!?
その悲鳴とも言える叫びは、目の前の教室からだった。
私は思わず窓の外から覗き込む。
発信源は、床にうずくまる男の子で間違いない。
「松山くん大丈夫!?」
飛び交うのは多くの心配の音。
ち、血……!?
ドキリとする。
“松山くん”というらしい彼の足元には、無造作に転がるカッターナイフ。
更に、右手で押さえられたもう片方は鮮紅色でベッタリ埋め尽くされている。
どうやら、誤って手を切ってしまったらしい。
大変、どうにかしなきゃ!
そう、私は心の中で大きく放った──。
……時だった。