白雪姫の王子様




「なーんちゃって」



何とも場違いな言の葉が、騒がしかった空間に森閑を生む。


……へ?



「何だよ、絵の具かよ〜」


「もうっ。びっくりさせないでよ!」


「悪ぃ悪ぃ」



ヘラヘラと笑ってみせる松山くん。


何、怪我してなかったの……?


あっけらかんとしながらも、とにかく彼が無事だとわかり安堵する。


しかし同時に、“冗談とは言えカッターナイフを使って皆を驚かせるなんていくら何でもやり過ぎじゃない?”


そんな怒りの感情が私には芽生えていた。



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