白雪姫の王子様




「……犀川くん!? 犀川くんっ!!」



即座に駆け寄り、私は何度もその名前を呼ぶ。


……や、やだ。



「誰か……っ、誰か早く先生を!」



私の必死の叫び声は、校舎中に反響した。



──……



大丈夫かな……。


あのあとすぐに先生が到着し、犀川くんは救急車で病院まで運ばれて行った。


私はあれからずっと気が気じゃなく、彼の安否ばかりが頭に浮かんで作業に全然身が入らなかった。


そして作業が終わると、すぐさま家に向かって無我夢中で走った。


だって、一刻も早く犀川くんの無事が知りたかったから。




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