白雪姫の王子様
──ガラッ。
「おじいちゃん、犀川くんは!?」
勢いよくドアを開けると、“ただいま”も忘れて息を切らしながら問い掛けた。
「病院から意識が戻ったと連絡があってな、さっき車で迎えに行って今は部屋で休んでおる」
一気に力が抜ける。
犀川くん、無事なんだね。
「……まあまだ完全とは言えんが、自分の足でも歩けるし、すぐに具合も良くなるとのことじゃ」
「そっか、よかった。……本当によかったぁ」
視界が揺れる。
緊張が解かれ、前がぼやけて見えない程、私の目はいつもより多くの涙で濡れていた。