白雪姫の王子様
彼はベッドで横になっていた。
チラリと覗くと、血色は殆ど通常と変わらないように戻っていて改めて安心する。
「もう、平気なの? 突然倒れたからびっくりしちゃった」
あの時は頭が真っ白になって、何が何だかよくわからなくて、“このまま犀川くんが死んじゃうんじゃないか”って恐怖だけが感情を支配していた。
「疲れが溜まってたのかな。でも、少し休んだら元気になったしもう大丈夫」
「それならいいんだけど……」
「心配掛けてごめん」
耳に入るのは、真面目で低い声。
視界に映るのは、何かを思いつめている様な真っ直ぐな瞳。