白雪姫の王子様
「嫌だな〜犀川くん、謝らないでよ! 私は無事でいてくれてすっごく嬉しいのよ?」
今までに感じたことがない重苦しい空気に、私は思わず笑い飛ばした。
一体どうしちゃったの?
体調が悪いから?
ううん、きっと違う。
それに──。
“疲れが溜まってたから”
さっき倒れた理由をそう言ってたけど、ほんとにただそれだけなのかな。
あの時、私が見たもの──薄らとした記憶の中で確かに刻まれているそれは、何かに驚いたような、怯えていたような、そんな犀川くんの顔だったから。
気にしすぎかもしれないけど、何だか引っ掛かって仕方がなかった。
「あ、あのさ」