白雪姫の王子様




──……



『あぁーーっ』



私はいてもたってもいられず、頭に手をやり嘆声を洩らした。


と言うのも。



『お弁当……忘れた』



とてつもない絶望感に襲われる。


いつも愛用しているりんご柄のランチバッグが無いことに気づき、机の周りをくまなく探すもやっぱり見付からなくて。


そうだ。7時半開始の文化祭準備に遅れそうになって、今日は慌てて家を飛び出してきたのだ。


嗚呼、私としたことがリビングのテーブルの上に置いてきちゃったんだ。


深い溜め息が零れた。



< 284 / 366 >

この作品をシェア

pagetop