白雪姫の王子様




──……



とまあ、この後悪い気もしつつ犀川くんを教室に戻るように促し、何とかその場を凌いだ。


──のも束の間、張りぼての嘘を信じるわけない女子達の質問攻めが私を暫くの間拘束したのだった。


そういう訳で、今日は変にぐったりしちゃったのである。



「……お腹空いた」



1人呟いてゴロゴロと過ごしていると。



「……っ!」



フワッと宙を舞う独特の芳ばしい香り。


この匂いは……。


今度は確かめるように、スゥッとたくさん吸い込む。


……絶対そうだわ!



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