白雪姫の王子様




──コンコンコン。



「犀川くーん? バスタオル持ってきたんだけど、入っても大丈夫?」



腕にそれを抱え、少し控えめに声を掛ける。


するとすぐに「大丈夫だよ」という声が返ってきて、私はそっとその扉に手をかけた。


……な、なんかそわそわしちゃうなぁ。


自然と耳に入るシャワーの音。


半透明なドアの向こうに感じる人の気配。


意識をしないよう精一杯努めるも、人間の本能はそれを許さない。


うぅっ。


あーーーもう、しっかりしろ私のバカァ!



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