白雪姫の王子様
お風呂以外ずっと肌身離さずつけているってことは、それ程彼女が彼にとって大事な人だっていう証。
つまりきっと彼女は──“あの子”なんだろう。
……そっかぁ、やっぱり見つかってたんだ。
いつから……そんなの、今はどうだってよかった。
知った所で、見つかったという事実は変わらないんだから。
私がどう足掻いたって藻掻いたって、もう敵うわけないじゃない。
それなのに私は1人ではしゃいで、勝手にドキドキしちゃって。
……本当、恥ずかしい奴。
前から存在は知ってた筈なのに。知ってて好きだった筈なのに。
いざ姿を目にしてしまうと、こうも胸をえぐられるような気持ちになるなんて、思ってもみなかった。
せっかく間宮くんに頑張るって約束したけど、想い人がいる人に恋するなんてそんな苦しいこと、私には耐えられそうにないよ。
ねぇ……恋をするって、こんなにもツライことだったの?
「うっ……」
必死に堪えようとしても、想いは声となって溢れ出す。
「うあぁぁっ」
聴かれぬよう顔を埋めていた枕は、冷たい液体でいっぱいに濡れてしまった。