白雪姫の王子様




お風呂以外ずっと肌身離さずつけているってことは、それ程彼女が彼にとって大事な人だっていう証。


つまりきっと彼女は──“あの子”なんだろう。


……そっかぁ、やっぱり見つかってたんだ。


いつから……そんなの、今はどうだってよかった。


知った所で、見つかったという事実は変わらないんだから。


私がどう足掻いたって藻掻いたって、もう敵うわけないじゃない。


それなのに私は1人ではしゃいで、勝手にドキドキしちゃって。


……本当、恥ずかしい奴。


前から存在は知ってた筈なのに。知ってて好きだった筈なのに。


いざ姿を目にしてしまうと、こうも胸をえぐられるような気持ちになるなんて、思ってもみなかった。


せっかく間宮くんに頑張るって約束したけど、想い人がいる人に恋するなんてそんな苦しいこと、私には耐えられそうにないよ。


ねぇ……恋をするって、こんなにもツライことだったの?



「うっ……」



必死に堪えようとしても、想いは声となって溢れ出す。



「うあぁぁっ」



聴かれぬよう顔を埋めていた枕は、冷たい液体でいっぱいに濡れてしまった。





< 294 / 366 >

この作品をシェア

pagetop