白雪姫の王子様




──……



『最終下校時間30分前です。文化祭の準備をしている生徒は速やかに片づけをし、7時までに下校してください』



「今日はここまでか。あー! あともうちょっとで終わりそうだったのによぉ」



あと約1週間後に本番を控えた文化祭の準備は、ついに佳境を迎えている。


今日もいつもの如く、ギリギリまで作業を続けていた。


アナウンスの声に手を止めた私達は、皆揃って片付けを始めた。



「浅原、岩瀬、じゃあな」



解散後、下駄箱の所で声をかけてくれた間宮くんに返事し、私は由利の傘に入れてもらう。



「ごめんねー、狭くしちゃって」


「いいわよ別に」



2人肩を並べ、校門まであと少しの所まで歩いてきた時。



「あの人誰だろー? めっちゃかっこよくない?」


「ねー! 大学生かなぁ」


「誰を待ってるんだろうね〜」



きゃーきゃーと騒ぐ女の子の声に従い、視線を動かしてみた。


すると──。



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