白雪姫の王子様
「それにしてもあんた、相変わらずねー」
「へ?」
なんだか呆れたような声がポツリと落ちて、私は後ろを振り返った。
「また道に迷ってたんでしょ」
「な、何でわかったのそれ!」
もしかしてエスパー!? 驚きのあまり小声で騒ぎまくる私を、由利は哀愁漂う目でじっと見た。
「白雪の“方向音痴”は、もう有名すぎて一般常識レベルだから。……間に合ってよかったわね」
……うっ。一般常識って。
そりゃあ確かに、1人で知らない場所まで辿り着けたことなんて1度もないし、ついさっき通った筈なのに帰り道がわかんなくなることも普通にあるし、そもそも地図なんて一切あてにならないけど……。
あれ? よく考えてみるとこれ、相当酷いかも。
そうやって、情けなさに押し潰されそうになっている最中。