白雪姫の王子様
「ありがとう……」
「何かあったら俺に頼れって言っただろ? 話くらいいつでも聞いてやっから、もう1人で抱え込むな」
……太一兄ちゃん。
「じゃ、俺今からバイト行ってくるわ。時じぃによろしく頼むぜ」
家の前に到着すると、太一兄ちゃんは予め停めてあったバイクに跨り、ヘルメットを被りながらそう言った。
「約束だかんな」
「うん」
──ワシャワシャ。
撫でた私の頭から手を離すと、彼はだんだん遠く、小さくなっていった。