白雪姫の王子様
──……
「──こうして、白雪姫は王子様と末永く、幸せに幸せに暮らしました」
最後のページまで読み終えると、名残惜しくもそのままパタンと絵本を閉じた。
……決めた。
私、ちゃんと自分の心にケジメをつける。
これ以上私個人のことで、皆に迷惑はかけられないんだもん。
それに、後ろを向いてないで前進しなきゃって、気づかされたから。
もともと逃げるのは性にあわないし、いつまでも引きずってばかりいたって仕方ないもの。
何事も諦めが肝心って言うでしょ?
だから、もう──。
この恋とはきっぱり、さよならするんだ。
犀川くんはおじいちゃんの弟子で、私の同級生。そして、ただの同居人。
全部最初に戻るだけ。
完全未練がないって言ったら、それはちょっと嘘になっちゃうけど。
だけど。
この恋は次の新しい恋へのステップ。
そう思えば、これまでの想いも救われるような気がするから……。
もっともっと素敵な王子様、絶対に見つけてやるんだから!
「ねぇ白雪姫様……? これで、いいのよね」
表紙に描かれた彼女の瞳に問いかけた、その時。